秋祭りの前夜、10月14日の夜から「宵宮(よいみや)」の神事が始まります。
まず拝殿前に一本の長い青竹を渡し、そこに「オンジヤク」と呼ばれる円形の御魂代(みたましろ)を吊るします。庭では「庭燈(にわび)」と呼ばれる火を焚き、その灯りのもと、神が「オンジヤク」に降り立つ“降神(こうしん)”の儀式が厳かに行われます。
こうした古式ゆかしい秋祭りの形を今に伝えているのは、県内でも非常に珍しく、貴重な伝統文化です。
さらに境内には、全国でも珍しい「列石の聖石群」があります。これは高さ約1メートル前後の板石387本が、境内を取り囲むように並べられたもので、緑がかった緑泥片岩(りょくでいへんがん)が用いられています。この岩は板状に割れやすい性質があり、それをそのまま活かして美しく配置されています。
歴史ある神事と、神聖な空間を彩る聖石群——。深い信仰と文化を体感できる秋の一夜です。