千年のかくれんぼ


分け入るごとに、


時はさかのぼり

分け入るごとに、時はさかのぼり

そびえ立つ山々が悠久の時を閉じ込めたのか。
変わらぬ営みと人のぬくもりが息づく、にし阿波
無垢の里。

にし阿波とは

「にし阿波」は、徳島県西部、美馬市、三好市、つるぎ町、東みよし町の2市2町からなる地域のことです。
にし阿波の山間部にある集落は、険しい山々の中腹に形成されています。山や畑、石積みやコエグロ、家屋などが一体となった景観は、桃源郷とも称される日本の原風景です。

にし阿波 にし阿波

にし阿波の魅力

集落の人々の暮らし

にし阿波の人々は、洪水をくり返す暴れ川と険しい山並みを暮らしの舞台として生き抜いてきました。山の神、水の神を祀り、自然を敬い、川の恵みや大地の恵みをいただいてきたのです。川辺も山肌も、嵐の後に姿を変えることもしばしば。
朝げ夕げに平穏な一日の幸せをかみしめ、寄り添い支え合うことで生きてきました。

急斜面では土をとどめるために石垣を築き、住まいを構えました。石や土は下へ下へと流れるため、そのたびごとに土を上げる手間隙かけた暮らしです。
氏神様のお世話はもちろんのこと、石垣を築くのも、家を建てるのも、道を造るのも、村を挙げての共同作業。草刈りも力を合わせ、堆肥となるカヤも村総出で刈り取り、それを束ねて「コエグロ」を作りました。そうして生まれる独特の風景こそが、今は懐かしい日本の原風景です。

世界農業遺産
「にし阿波の傾斜地農耕システム」

にし阿波には世界的にも珍しい「傾斜地農耕」という技術が受け継がれています。米作りに適さない土地柄ゆえに、米の代わりに在来種の蕎麦や雑穀、自生種の山茶、在来野菜なども栽培されてきました。「そば米雑炊」「でこまわし」「ひらら焼き」など、この地ならではの食材から生まれた伝統料理も大切に受け継がれています。
こうした独特の景観や、伝統、食文化を体感できる集落が、にし阿波の各所に点在しています。先人の知恵と工夫にあふれた暮らし、素朴で滋味豊かな食べ物、地域の人との交流は、いつまでも記憶に残る体験となり、きっと明日への元気を与えてくれます。