そらの郷での
フィールドワーク例
~産業の構造転換と地域づくりの現場で学ぼう~
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フィールドワーク 1
世界農業遺産「傾斜地農耕システム」を活用した地域ブランディング
【世界農業遺産登録を目指す伝統農法】
積雪など厳しい冬季の気候に加え、夏秋季のたび重なる台風の通過など、過酷とも言える自然環境と対峙し、人々が生きるために長い年月をかけて築き上げたのが「にし阿波の傾斜地農耕システム」です。
表土が薄く場所によっては斜度40度にも及ぶ、耕作不適とされるような急峻な山々の中腹で、急傾斜地の条件に応じて、ほ場・採草地・居住地を配置するという独特な土地利用が行われ、①等高線に沿った畝立てと石積みによる排水機能の調節、②土壌流亡を防ぐための採草地で集めたカヤ(ススキを中心とした草木)の敷き込み、③新たな作土を供給するための在来農具による深い耕起と流亡土壌を復元させる耕作技術等によって、棚田や段畑を作らず傾斜を残したままで持続的な農業を行っています。- 斜面での農耕作業を体験します。
- 斜面での栽培の知恵、独特な農機具などを農家にヒアリングします。
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フィールドワーク 2
雑穀栽培の復活と在来種の保存による地域づくり
【傾斜地農法の代表、雑穀の復活による地域の再生】
傾斜地集落においては、雑穀や野菜の地域固有の品種が多く作り継がれており、貴重な遺伝資源の宝庫でもあります。
しかし、かつて30種近く栽培されていたシコクビエやタカキビなどの雑穀は、次第に姿を消しつつあります。
食と農の景勝地事業においても、雑穀を活用した新たな加工食品の開発や、雑穀そのものの付加価値の創造により、地域経済に貢献する産業の創出を目指しています。
雑穀生産組合を再結成して復活につとめる活動や、高度な植物資源の利用を集落で学びます。- タカキビのほうき作りを体験します。
- 雑穀の収穫作業などの体験を通じ、山の暮らしの知恵を学びます。
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フィールドワーク 3
集落に伝わる習俗の新たな価値を創造
【生きた民俗資料としての集落文化の保全】
にし阿波の各地の集落には、古くから伝わる習俗が今なお受け継がれています。
集落のコミュニティの中で、祭事や神事を受け持つ役割などが今なお守り継がれており、独特な世界観を醸し出しています。訪日外国人旅行者も多くなった今、日本のスピリチュアルな伝統文化や精神性が、観光資源としても見直されており、また地域の人々の誇りやアイデンティティの根源でもある習俗の継承は、意義深いことです。
世界に通用する「もうひとつの日本」がここにあるといっても過言ではありません。- 集落に点在するお堂や祠など自然への感謝の儀礼を体験します。
- 妖怪の里歩きなど、自然と共生する暮らしの知恵を学びます。
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フィールドワーク 4
集落における新たな販売ポイントの創造
【空き家活用、廃校利用など集落の挑戦】
集落ごとに状況は変わりますが、空き家を利活用して交流拠点や、ゲストハウスの運営、農家レストランなどの地域ビジネスの創出にチャレンジしています。単に、モノを販売するのではなく、交流を前提とした付加価値を販売するポイント(場所)を創造し、消費者が現地を訪れて消費する「交流地消」の新しい流通を目指しています。
交流観光、コミュニケーションツーリズムの展開で農業の産業構造の転換による付加価値を売る挑戦でもあります。- 集落形成の歴史や習俗・文化などをヒアリングします。
- 集落で地域づくりに活躍する地域人との交流などを行います。