春の宵、塩塚高原を真紅の炎が染め上げます。
標高1,043mに位置するこの高原は、愛媛県と徳島県の県境にまたがり、広大な自然が広がる場所。ここでは毎年春、植生の保全や景観の維持、茅の再生を目的に「野焼き」が行われます。
炎は風にあおられながら一面の草地を駆け抜け、その様子はまるで大地を這う龍や大蛇のよう。夜の闇の中に浮かび上がる火のラインは、自然と人の営みが織りなす一大風景詩です。
およそ20ヘクタールにわたって広がるこの春の儀式は、地域に春の訪れを告げる風物詩となっており、多くの見物客を魅了しています。